「大国に迎合しても安全を買うことはできない」トランプ大統領が激怒したカナダ カーニー首相の演説ロングバージョン ダボス会議で”脱アメリカ”宣言(2026年1月23日)※日本語字幕設定済
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私たちは大国の競争が激化する時代に生きていることを日々思い知らされています。
ルールに基づく秩序は衰えつつあります。
「強者はしたいことをして、弱者はそれを耐え忍ぶ」。
トゥキディデスのこの警句は不可避なものとして語られます- 国際関係の自然な論理が再び前面に出てきているのだと。
そしてこの論理に直面して、各国は波風を立てずにやっていくために同調する傾向が強くなっています。
迎合し、トラブルを避け、従順であることによって安全を買おうとする。
しかし、そうはいきません。
では、私たちにはどのような選択肢があるのでしょう?
1978年、チェコの反体制派ヴァーツラフ・ハヴェルは「力なき者たちの力」と題するエッセイを書きました。
その中で、彼はシンプルな問いを投げかけています。 共産主義体制はいかにして存続したのか?
彼の答えは青果店から始まります。
毎朝、店主は店頭に看板を掲げます。
「全世界の労働者よ、団結せよ!」。
彼はそれを信じていません。
信じている人は誰もいません。
それでも彼は看板を掲げます ― トラブルを避けるため、従順であるとを示すため、うまくやっていくために。
そして、どの通りの店主も皆同じことをするから、体制は存続するのです。
暴力だけではなく、人々が内心では誤りと知りつつ儀式に参加することによって、体制は維持されるのです。
ハヴェルはこれを「嘘の中で生きる」と呼びました。
体制の力は真実からではなく、真実であるかのように振る舞おうとする皆の意思から生まれます。
そしてその脆弱性も源は同じです
たった一人でも演技をやめたとき、
青果店の店主が看板を取り外したとき、その幻想はひび割れ始めるのです。
いまこそ、企業も国家もこの看板を取り外すときです。
数十年にわたって、カナダのような国々は、いわゆる「ルールに基づく国際秩序」の下で繁栄してきました。
私たちはその体制に加わり、その原則を称賛し、それが予測可能であることから恩恵を受けました。
その保護のもとで、価値観に基づく外交政策を追求することができました。
私たちは、この「ルールに基づく国際秩序」の物語が部分的に虚構であることを知っていました。
強大な国は都合の良いときに自らをルールの適用外にするということを。
貿易ルールが非対称的に執行されるということを。
そして国際法がどれほど厳格に適用されるかは、被告や被害者が誰であるかによって異なるということを。
この虚構は便利なもので、特にアメリカの覇権は公共財の創出につながりました。
開かれた海上航路、安定した金融システム、集団的安全保障、紛争解決の枠組みへの支援などです。
だから、私たちは看板を掲げました。
儀式に参加しました。
そして、言葉と現実の間の隔たりを指摘することをほとんど避けてきました。
しかし、このような取引はいまや機能しなくなっています。
率直に申し上げます。
私たちは移行期ではなく、断絶の真っただ中にいます。
この20年間で、金融、保健、エネルギー、地政学における一連の危機を通して、極端なグローバル統合に伴うリスクが露呈しました。
近年では、大国が経済統合を武器として利用し始めました。
関税を力として。金融インフラを威圧の手段として。サプライチェーンを利用すべき脆弱性として。
統合が従属の源泉となるのであれば、相互利益という「嘘の中で生きる」ことはできません。
ミドルパワーが頼りにしてきた多国間機関
WTO、国連、COPなどの集団的問題解決の枠組み は著しく弱体化しています。
その結果、多くの国が同じ結論に至っています。
エネルギー、食料、重要鉱物、金融、サプライチェーンについて、より強力な戦略的自律性を確立しなければならないと。
この動きは理解できます。
自国で食料を調達できず、燃料を供給できず、防衛もできない国には選択肢が限られます。もはやルールが守ってくれないなら、自らが国を守らなければなりません。
しかし、これによって何が起きるかを冷静に見極める必要があります。
要塞化された世界は、貧しく、脆弱で、持続可能性に欠けます。
そして、もうひとつ真実があります。
大国がルールや価値観の体裁すら捨てて、権力と利益の追求に走れば
「取引主義」の利益を再現することは困難になります。
覇権国家は継続的に関係を金銭化できなくなります。
同盟国は、不確実性をヘッジするために多角化を進めます。
保険をかけ、選択肢を増やそうとします。
これによって主権を再構築します
かつてはルールに根ざしていた主権が、圧力に耐える能力に依拠するようになります。
既に申し上げたように、
こうした古典的なリスク管理には代償が伴います。
しかし戦略的自律性、つまり主権のコストは共有することも可能です。
レジリエンスのために共同で投資すれば、それぞれが独自の要塞を築くより低コストです。
共通の基準は分断を軽減し、相互に補完することはポジティブ・サムをもたらします。
カナダのようなミドルパワーとって、問題はこの新しい現実に適応すべきかどうかではありません。適応しなければならないのです。
問題は、単に高い壁を築くことで適応するのか、それとももっと大胆なことをできるのか、ということです。
カナダはこの警鐘をいち早く受け止め、戦略姿勢を根本的に転換しました。
カナダ国民は、地理的な条件と同盟関係によって自動的に繁栄と安全がもたらされるという、
これまでの安楽な前提はもはや有効ではないことを認識しています。
私たちの新しいアプローチは、アレクサンデル・ストゥブが「価値に基づくリアリズム」と呼んだ、
原則に基づきつつ現実的であることに根ざしています。
基本的価値、すなわち主権と領土の一体性、国連憲章に則った場合を除く武力行使の禁止、人権の尊重に対するコミットメントにおいて原則を貫くこと。
進歩は多くの場合漸進的であり、利害は分かれ、すべてのパートナーが私たちと価値観を共有しているわけではないことを認識して、現実的であること。
私たちは広く、戦略的に、現実を直視しながら関与しています。
理想とする世界を待つのではなく、あるがままの世界を主体的に受け止めます。
カナダは、その深さが私たちの価値観を反映するように、対外関係を調整しています。
世界秩序の流動性、それがもたらすリスク、そして次に起きることへの重大な利害を考慮し、影響力を最大化するために、幅広い関与を重視しています。
もはや価値観の力だけに頼るのではなく、私たちの力が持つ価値も頼りにしているのです。
カナダは国内でその強さを築いています。
私の政権が発足して以来、所得税、キャピタルゲイン課税、事業投資税を削減し、
州間の貿易に関する連邦の障壁をすべて撤廃しました。
エネルギー、AI、重要鉱物、新たな貿易回廊などへの1兆カナダドル規模の投資を迅速に進めています。
国内産業を育成する方法を取りながら、2030年までに防衛費を倍増させます。
海外でも、多角化を迅速に進めています。
欧州連合とは包括的戦略パートナーシップで合意し、欧州の防衛物資調達枠組み「SAFE」に参加します。
このほかにも、最近6カ月間で4大陸において12の貿易および安全保障協定を締結しています。
ここ数日では、中国およびカタールと新たな戦略的パートナーシップを締結しました。
現在、インド、ASEAN、タイ、フィリピン、メルコスールとの間で自由貿易協定交渉を進めています。
グローバルな問題の解決に向けて、
私たちは価値観と利益に基づき、課題ごとに異なる連合を形成する「可変的な幾何学」を追求しています。
ウクライナ問題では、カナダは有志連合の中核メンバーとして、防衛・安全保障分野で国民一人当たり最大の貢献をしている国のひとつです。
北極圏の主権問題では、
グリーンランドとデンマークを断固として支持し、グリーンランドの未来を決定する独自の権利を全面的に支持します。
(NATO)第5条へのコミットメントが揺らぐことはありません。
さらに、NATO同盟国(北欧バルト8カ国を含む)と連携し、
カナダが前例のない規模で投資する超水平線レーダー、潜水艦、航空機、地上部隊の配備などを通じて、同盟の北方および西方の防衛を強化しています。
カナダはグリーンランドをめぐる関税措置に強く反対し、
北極圏の安全保障と繁栄という共通目標の達成に向けた集中的な協議を求めます。
多国間貿易については、
環太平洋パートナーシップ協定と欧州連合の架け橋となる取り組みを主導し、15億人を擁する新たな貿易圏の構築を推進しています。
重要鉱物については、G7を基盤とする「バイヤーズ・クラブ」を形成し、
供給の集中から脱却した世界的な多角化を図ります。
AI分野では、
志を同じくする民主主義国家が協力することにより、覇権国家か巨大IT企業かという二者択一を迫られる事態を回避します。
これは甘い考えの多国間主義ではなく、
衰退した国際機関への依存でもありません。
共通の基盤を十分に共有して行動するパートナーと、課題ごとに機能する連合を構築する取り組みです。
大多数の国が加わる連合になることもあるでしょう。
これによって貿易、投資、文化にわたり密接な連携網を構築し、将来の課題と機会に対応するための基盤を築いています。
ミドルパワーは結束して行動しなければなりません。交渉のテーブルに着かなければ、自らがメニューに載せられてしまうからです。
大国は単独で行動できます。
市場規模、軍事力、条件を押し付ける影響力を有しているからです。
ミドルパワーにはそれがありません。
このため、覇権国と二国間で交渉するだけでは、弱い立場で交渉しなければなりません。
提示された条件を受け入れ、最も譲歩する国になるよう競い合うことになります。
これは主権ではありません。
従属することを受け入れつつ主権を演じているに過ぎません。
大国間の競争が激化する世界において、その狭間にある国々には選択肢があります。
互いに影響力を競うのか、それとも連携して影響力をもつ第三の道を切り拓くかです。
ハードパワーの台頭に目を奪われて
正統性、誠実さ、ルールに基づく力の強さが損なわれることはないという事実を見失ってはなりません。
私たちが共にそれを行使することを選べば、その力は持続するのです。
ここでハヴェルの言葉に戻ります。
ミドルパワーにとって「真実の中に生きる」とは何を意味するのでしょうか?
それは、現実に名前を付けることです。
「ルールに基づく国際秩序」と、これが宣伝どおりに機能しているかのように呼び続けるのはやめるべきです。このシステムをありのままに呼ばなければなりません。
強大な勢力が経済統合を威圧のための武器にして自らの利益を追求する、大国間の激しい競争の時代だと。
それは、一貫した行動を取ることです。
同盟国にも競合国にも同じ基準を適用するべきです。
ミドルパワーが一方向からの経済的威圧を批判しながら、
別の方向からの威圧には沈黙するとき、その国は看板を掲げているだけになります。
それは、自らが信じるものを構築することです。
旧い秩序の復活を待つのではなく、言葉どおりに機能する制度や合意を創出するべきです。
そしてそれは、威圧を可能にする力を減じることです。
すべての政府にとって、強固な国内経済の構築は常に最優先課題であるべきです。
国際的な多角化は単なる用心深い経済運営ではなく、誠実な外交政策の物質的基盤です。
報復に対する脆弱性を減らすことによって、国は原則に基づいた立場を取る権利を得ることができます。
カナダは世界が求めるものを有しています。
カナダはエネルギー超大国であり、
膨大な埋蔵量の重要鉱物を有しています。
世界で最も教育水準の高い国民を有しています。
年金基金は投資家として世界最大級で、また最も洗練されています。
資本、人材、そして断固たる行動を取るための強大な財政能力を備えた政府を有しています。
そしてカナダは、多くの国が憧れる価値観を体現しています。
カナダは多元主義社会として機能しています。開かれた議論の場は活発で多様性に富み、自由です。
カナダ国民は持続可能性への取り組みを続けています。
カナダは安定した信頼できるパートナーです - 不確実な世界にあっても、長期的な関係を築き、それを重視するパートナーです。
カナダが有しているものはほかにもあります。 起きていることを認識し、それに応じて行動する決意です。
私たちは、この断絶に対しては適応以上のものが必要だと理解しています。
あるがままの世界を誠実に見つめることが求められているのです。
私たちは看板を外します。
旧い秩序は戻りませんが、それを嘆くべきではありません。
過去を懐かしむことは戦略ではありません。
しかし、この断絶からより良く、より強く、より公正なものを築くことはできます。
これこそが、要塞化された世界では最も多くのものを失い、真の協力の世界では最も多くのものを得る、ミドルパワーの使命です。
強い者には強い者の力があります。
しかし、私たちにも力はあります
偽りを止め
現実を直視し
国内で力を蓄え、共に行動する力です。
これがカナダの道であり
私たちは堂々と、自信を持ってこれを選びます。
そしてこの道は、私たちと共に歩む意思を持つすべての国に広く開かれています。
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